大野陽生による立体作品『泥を吐く魚と漁師』がSUB-ROSAのStoreで販売された。
大野陽生は武蔵野美術大学造形研究科で彫刻を専攻。ロマネスク彫刻などの宗教的な美術表現やモチーフに惹かれ、主に石を芯とした人型の塑像を中心に制作してきたアーティスト。在学中の石彫から始まり、油粘土やパテ、ワックス、発泡スチロール、また本作にも使用したウレタン樹脂など、使用する素材は多様に変遷してきた。
作品に帯びる宗教性については意識的ではなく、あくまで制作後に認識することのほうが多いという大野。資料にあたるうちに作品と宗教美術の関連に気づき、その事実が関心を掻き立てる。そうした史実との相互作用のなかから生まれる自身の作品について、大野は「日常にあるさりげないお守りや、ゲームのセーブポイントのような存在」と表現する。作家の手の痕跡を残しながらも、アノニマスで慎ましやかな造形は、信仰心よりも原初にある「信じる」という行為に目をやる大野の姿勢が反映されている。
『泥を吐く魚と漁師(The Mud Vomiting Fish and The Fisherman)』と題された本作で、大野はウレタン樹脂を用いることで、ホビーライクな存在を目指した。時間軸のない道祖神のような佇まいだからこそ、経年による変化が楽しみな作品でもある。
作品の特性から、3個限定の受注生産で先着順の締め切りとなる。応募はSUB-ROSAのStoreから。